きみの手はdolce
はあ、と白い息を吐きながら、かいがいしく動く手と目の前の綺麗な顔を見ていた。
「寒くねーか」
「うんー。あとべ、睫毛長ぇね」
「ハッ、なんだそりゃ? つか、動くな」
マフラーをリボンに結んで (なんで女の子みたくリボン結び? って思うんだけど、以前訊いたら、そのほうがお前が可愛いじゃねーの、と至極大真面目に返されたので、もう気にしない。てか諦めた)
「寒いとね、眠くなるよねぇ…」
「お前の場合、寒さ関係無しにいつもだろ。立ったまんま寝るなよ」
「んー、ダイジョブだって。あとべ心配しすぎだCー」
「うるせぇ。日頃の行いを振り返ってから言え」
あとべは暗に、この前、下校中に通学路で眠りこけてしまったオレのことを言っているみたいだった。
「あ〜〜、あれはねぇ。しょうがないんだよ。休み時間に缶蹴りしてたんだけど、ちょっとはしゃぎすぎちゃってさあ。だから、ホントに眠くて眠くて…」
「俺様がたまたま車の窓の外眺めてて気が付いたから良かったようなものの…。ちゃんと気をつけろ」
「うん〜、わかったぁ」
「ほら、これで完成だ」
あとべの世話焼きはオレの両耳に、かぽり、とイヤーマフを装着してようやく終わりを告げた。
「あんがとぉ」
ぬくい、と素直な感想を述べると、あとべはクスクスと突然噴き出した。
「ははっ、もこもこで羊みてえ」
しかもイヤーマフが丁度角みたいに見えるとあとべは言った。
「そうかな? オレ、羊好きだよー」
「食うのがだろ?」
「うんうん、そそ、食うのも好きー。あと、うちに羊の枕とか目覚まし時計とかいっぱいあんだけど羊かわいいよね。もこもこでふわふわだCー」
身振り手振りで家にある大きめの枕を抱きしめる格好をしてみせた。
「ああ、そうだな。可愛いかもな」
―― 今、目の前にいるいつもねむねむな羊が一番な。
そう、あとべが甘く囁いて、オレのことを抱きしめてくれたのがその日一番あったかかった。
【 おしまい 】
ジロ跡ジロ
【きみの手は僕に甘ったるく優しい】
やっぱり季節を逆走しまくっていますが、ジロ跡ジロでも冬のお話が思いついちゃったので。
ジロたんに世話焼きなべ様が好きです。そんなべ様にメロメロなジロたんが好きです。
そして、羊好きなジローたん公式。かわいいですよね。
ペアプリのジロたんとブンちゃん巻のネタとか、缶蹴りはミュで初代日吉の龍ちゃんが日替わりネタでジロたんと缶蹴りしてたのが可愛かったのを思い出しまして入れました。
最近のわたしはミュ初代氷帝が好きすぎて、ちょっと落ち着こう、と思いながら、全然落ち着けないんですが、どうしたもんか…。笑
12.05.08 up