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Prince of Tennis

愛と糖度と健やかな育みを

 くるくるふわふわの金糸を靡かせて、文字通り飛ぶように駆けてくる。

「あっとべー♪」

 その足下を少しも顧みない走り方に、危ねえ、と言おうかどうか少しばかり悩んだが、ジローは真っ直ぐに俺の元にやってきて、細っこい体をしっかりと抱き留めてやれたので、口に出すのは止めておいた。

「今日は寝てなかったのか?」

 答えの分かりきった質問をすれば、

「んーん、今起きたんだよ〜」

 ぷるぷると左右に振られる首に、やっぱりな、と目の前の額を小突いた。

「俺がいない間もちゃんと練習しろ」
「だって、あとべ居ないとつまんないC!」

 盛大に拗ねた声音に、ふう、と溜め息を一つ。

「それに寝る子は育つんだって!」

 むんっ、と鼻息荒く言い返してきたのには笑った。

「育ってねーじゃねぇか」

 15センチ低い位置にある髪をくしゃくしゃと撫ぜる。

 ジローはむぅ、と唇を尖らせてから、

「これから伸びるんだよぉ。あとべ、なんか今日はイジワルだね」

 眠気を我慢しているときと似たような半目でジト…と俺を睨んできた。
 それが何故かいつもより近い高さにあることに気が付き、足元にちらりと視線を落とす。
 爪先立ちをしているジローに、ばぁか、と言ってやった。

「お前にはいつも優しいだろ?」

 背伸びを止めさせて、ちゃんと真っ直ぐ立たせる。

「ほら、相手してやるからラケット持ってこい」
「わあ! まじまじっ! うんっっ!」

 待ってて〜! と再び飛ぶように駆けていく背中を見送りながら、

「…ったく」

 ―― 背伸びなんかしなくても、ちゃんと視界に入れといてやるから、お前はそのままでいりゃ良いんだよ。

 ゆっくり成長するジローに向けて、小さく呟いた。


 【 おしまい 】
跡部さまとジローたん
ゲームの学園祭をやってからというもの、この二人に目覚めました。
ジロたんに甘々な跡部様がやばいです。跡部様に懐きまくりのジロたんも可愛過ぎてキュン。
CPとして考えるとジロ跡も跡ジロも好きでもの凄い悩むんですが、どうも根っからの跡部受スキーなのでジロ跡寄りかな、て思っています。でも、自分で書くとビックリするくらい跡ジロにしかなりませんでした。あれ??
12.04.03 up