降 ら れ 、 夕 立 (カノン) どしゃぶり雨に焦って近くのコンビニに駆け込み、雨宿り まるで空が号泣しているように降る夕立に ほんとうは泣き虫のあいつを思い出した サガは泣く時は豪快に泣きそうなので …ってか豪快に泣いてたな、そういえば (←冥王十二宮編参照) 夏の海 暑い、暑い陽射しのもとで カノンが白い水飛沫を上げていた たとえば今 あの子にくちづければ、しおからいキスになるのだろうな、とぼんやり思いながら わたしは目を眇め、キラキラ水の飛沫を散らす眩しいカノンを見つめていた 真夏の海でしょっぱいくちづけ、とか良いなあ、と思いつつサガお兄さま視点。 カノンはやっぱり海が似合うと思うのです。 浜に上がってきたカノンが、ほら、と顔を寄せてくる なんだ、と問えば、んー確認したいのかなーと思って、と返って来た ふむ… どうやら小宇宙で心の声を飛ばしてしまっていたらしい お言葉に甘えて、カノンのくちびるをひと舐め カノンのくちびるは予想通りしおからかった そう思いながらくちづけ終了 しかしカノンは、わたしが顔を離すや否や うー…今のはキスじゃない!と不満気にごねた やれやれ、どうなっても知らんぞ カノン好みの極上笑顔でニヤリと微笑む 今度は吐息ごとそのくちびるを貪ってやった 海辺でいちゃいちゃ双子 サガは海が嫌い、だけど海辺でカノンといちゃつくのは好きってのが M O E ! つまり海皇とか海皇とかに見せつけたいんです (えっ!) 指折り数えて7月7日 一年に1度だけの逢瀬? それでも一年に1度は逢えるのだろう… ああ、彦星と織姫とやらを贅沢者め、と罵ってやりたい カノンに逢いたいサガお兄さま。 双子は13年ぶり (それも一瞬) だったから…!(遠い目) なあ、サガ オレとお前の間に流れるこの水面の空もさ ある意味天の川なのかな…? サガに逢いたい海底神殿に居るカノンたんです。 海底時代とも聖戦後の海将軍のお仕事中とも取れる感じ。 わたしの弟は 時々唐突にわたしを抱きしめる それも 胸にかき抱き、ぎゅうぎゅうと息が出来ないくらいの強さでだ 「カノン苦しい」 そう訴えると 「生きている証だ」 ―― 喜べ。馬鹿兄貴… 小さくカノンの嗚咽が聴こえた この後のサガは大人しくカノンたんの腕の中に納まっていると思います。 でもしばらくしたら今度はサガがカノンを抱きしめてあげるのです…! 聖域に夜の帳が下りるとき ふと 教皇の間から 馴染み深い小宇宙が消えて行くのを感じることがあった。 それを頻繁に感じ取っていた蟹座の聖闘士は 銀髪の頭をがしがしと掻き、 月明かりの満ちる、聖域を抜け出す。 向かう先は聖域に程近い海だった。 絶壁に立ち尽くす彼を見つけ、 やっぱり此処なんだな、と思いながら口を開く。 「おい、サガ」 荒っぽい声に名前を呼ばれたサガは、 長い長い青銀髪を海風に靡かせながらデスマスクを振り向いた。 ぼんやりと焦点を欠き、現 (うつつ) を映していなかった紺碧の双眸に光が戻った。 デスマスクは、きちんとそれを確認して、サガの腕を乱暴に引っ掴む。 「帰るぞ」 「ああ…」 デスマスクの言葉に小さく答えて、歩き出す。 でも紺碧の双眸はいつまでも暗黒の海に捕らわれたままだった。 ―― カノン… デスマスクに手を引かれながら 最後に一度だけ海を振り返ったサガは唇の形だけでそう呼んだ。 聖域に居るものは誰も知らないものの名前を、 いとしげに ―― 人格が戻ると海に行くサガとそれを毎度毎度連れ戻すデッちゃん。 デッちゃんはカノンの存在を知らないので 「カノンって誰だ…」 といつも もやもやもやもや〜としてしまうのです (笑) 聖域でサガ以外にカノンの存在を知っていたのはシオンさまだけで、 でもロス兄だけはサガじゃないときがあるって双子が入れ替わっているときに 勘付いていたらもっと良いなあー (希望妄想) 繕った微笑みを浮かべるサガを前に いつも思っていたことがある 「なあ、サガ。 お前ってほんとうは短気なんだよ」 他人の前ではちょっとやそっとじゃ怒ったりしないけど お前の真の姿は短気者だ 怒るとすぐ手が出てしまうやつなんだ 殴られるのは堪ったもんじゃないが でも拳を振り上げた後に 自分のほうがよっぽど泣きそうになる… 「そういう兄さんが俺は好きだよ…」 あのとき、そう伝えることが出来たなら ―― 海将軍として、 水面の青空を見上げながら お前を想うと 悔恨と憎しみと愛情が混ざり合い、心がはちきれそうだよ カノンは聖域に居ても海底に居ても冥界に居ても結局いつも サガのことを想ってしまうんじゃないかなーと思うのです。 オレの兄はよく鬱になる。 落ち込む理由はまあ、オレや傍から見れば、しょーもねぇってことも多い。 でもサガからすれば、それはしょうもなくなんてないんだと思う。 けれどサガが落ち込む姿なんて出来れば見たくはない。 もうそんなの昔の思い出だけで十分だ。 だからオレはある日言ってみたのだ。 「なあ、サガ。落ち込みそうだったら言えよ、溜め込むな」 「だがカノン。わたしは弱音や愚痴を口に出来ない…いや、きっと出したくないのだ」 「じゃあ言葉にしろとは言わない」 たとえば泣くだけでも良い (いきなり滝涙されたら驚いちまうだろうけど) たとえば甘えるだけでも良い とにかく少しだけでも良いんだ 内に溜め込むな。外に出せ それこそオレだけがわかる程度でも構わないんだ すぐ気付けるよう、ちゃんと見ていてやるから ―― オレは切に訴えた。 それから数日後。 双児宮のリビングで雑誌をぱらぱら捲くっていると 突如、後方からのっしり圧し掛かってくるものがあった。 サガだ。 「のああ〜…!重い、サガ!」 何をする! 内臓が圧迫されてオレは呻いた。 「カノン…」 サガはオレの言葉を聞き、全体重を掛けてくるのは止めたようだった。 ぜいぜい言いながらほっと一安心。オレは胸を撫で下ろす。 それからサガを振り向くと、オレの肩口にちょこんと顎を乗せて、ぴとっと頬っぺたを引っ付けてくるから驚いた。 両の腕 (かいな) も痛いくらいにオレをぎゅうぎゅうと抱きしめている。 「サガ、どうしたのだ?」 「カノン、お前に甘えている」 ってことは落ち込んでいるのか? オレは一抹の不安を感じつつ、もそもそ身動ぎし体を反転。 サガと向かい合わせに座り、サガお得意の眉間の皺に気付いた。 その皺を伸ばすように指の腹でサガの眉間を撫でてみる。 消えないだろうな、と哀しく思いながら何度も何度も撫でてみた。 しかしオレの予想を裏切り、サガの眉間の皺は程無くして綺麗に消えた。 あれ、と眸を瞬いていると、今度は額がコツンとひっつき サガは穏やかに微笑みながら 「ああ、カノン。お前は優しいな」 優しく言われて、どうしてだろう オレは不覚にも泣いてしまいそうになったのだった。 サガを癒すのはカノン。カノンを救うのはサガ。 サガはカノンにならほんの少しなんだけど甘えれる気がします。 「カノン ―― 私に何かあったときはお前が…」 サガの言葉を遮るようにくちづける。 もしもの話なんてしたくないし聞きたくもない。 想像だってしたくないのだ。 なあ、サガよ そのもしもの話に出てくる ひとり残されたオレが、どれだけ辛いか哀しいか お前は一瞬でも考えてくれたことがあるの…? ☆矢を読む度にサガの言葉は残酷だなあ、と思います。 置いていかれるのはとても哀しい。 のどかな休日。 リビングの一角で雑誌を捲りながらのんびりコーヒーを啜っていたら 前触れもなくカノンが後ろから抱き付いてきた。 なんだ甘えんぼの弟め、とくすり 微笑ましく思ったのだが、しかし次の瞬間 ‘ぐしゃ’ と不穏な音が耳に届き、微笑ましい気持ちは一瞬で霧散することになった。 「…なっ!」 突然わしゃわしゃと髪を掻き回され、驚きのあまり、手元のカップを滑り落としそうになった。 「…カノン!」 咄嗟にべしっとカノンの手の甲を叩き落す。 痛ぇっ!と手の甲を押さえて、涙ぐむカノン 「サガ!何をする!暴力反対!」 「ええい、お前のほうが何をするのだ!」 ぐちゃぐちゃになってしまったではないか、と掻き乱された髪を撫で 押さえながらカノンを怒鳴りつける。 「え、いや…なんかサガの髪ふわふわだなぁって」 「双子なのだから同じ髪質であろうが!自分の髪を触れ、自分の髪を!」 びしぃ!とカノンの髪を指差し、はあ、と脱力。 カノンはむーとした顔のまま、自分の髪を一房摘み 「だってサガの髪のほうが綺麗だし…」 もごもごと小さく呟いた。 「カノン」 くるりとカノンを振り返る。 「ん?」 わたしに呼ばれ、ぴとっと背にへばり付いて来るカノン さらり、とわたしの肩に流れたカノンの髪を一房摘んだ。 「わたしはお前の髪が好きだよ」 そっと唇で触れる 「…うん、だからオレの髪はサガが愛でて」 オレは兄さんの髪を愛でたいの、とカノンがわたしの背にさらに圧し掛かって来る。 このままでは押し潰されるな、と身の危険を察知 手元のカップを床に置くと、カノンを前に引き寄せた。 わたしの腕の中に大人しく収まったカノンは、にっこり微笑む。 まったく… お前はただ甘えたいだけなのだろう、カノン |