間 違 い だ ら け ――――――――――――――――――――――――――――――― それでもわたしが選び取った道それでもオレが歩んで来た道 も う 見 え な い ――――――――――――――――――――――――――――――― 蒼い髪も紺碧の眸も黒い髪も緋色の眸も 既 視 感 ――――――――――――――――――――――――――――――― カノンをぎゅう、とこの腕に抱きながら首筋にくちづける。そうして私は動けなくなった。 つう、と嫌な汗が額に滲む。 「んっ、サガ…?」 カノンは潤んだ眸で私を見つめる。 震える手を叱咤し、柔らかな髪をかき分ける。 耳の後ろに辿り着き、ついと指先でなぞってやった。 カノンは吐息を洩らす。私はやはり動けない。 ねえ、カノン。私はこのような場所に鬱血痕を残した覚えがない。 そう私が口に出すより先に、漆黒の髪を持つ男が笑って、答えた。 『当然だ。お前がつけたワケではないからな』 強 が る こ と も で き な い ――――――――――――――――――――――――――――――― 「サガの馬鹿馬鹿!アホアホめ!」そう、私のことを罵りながら そっと私のことを抱きしめてくれる手を、自ら手離したのだから ―― あ な た が 必 要 と し な い な ら ――――――――――――――――――――――――――――――― 自分自身の価値すらわからない。そんな小さな世界で生きていた。カ ウ ン ト ダ ウ ン ――――――――――――――――――――――――――――――― 空が白む。火時計の炎が揺らめき、消えていく。十二宮の石段で、カノンは金色に煌めく聖衣を纏って、空を仰いだ。 すこしでも下を向くと、涙が零れ落ちそうだったのだ。 明 日 な ん か 、 い ら な い ――――――――――――――――――――――――――――――― お前が居ない今日を、生き抜くことでいっぱいいっぱいだし砕 け た ガ ラ ス ―――――――――――――――――――――――――――――――――― 赤い、紅い、血が滴る。カノンは指が切れるのにも構わず、砕けた硝子を繋ぎ合わそうとしていた。 まるで終わりの見えないジグソーパズル。 やはり元通りには復元出来ない。 「カノン。もう良いよ」 ぎゅうと抱きしめ、血塗れの指を口に含み、傷ひとつひとつを丁寧に舐めてやる。 「…良くない!良くないぃ…っ」 カノンはわたしに縋り、泣きじゃくった。 「だってアレはお前の心じゃないか!」 そうだな。お前が砕いたわたしの心だ。けど気にすることはない。 お前が砕かずとも近いうちに、こうなる運命だったと思うから ―― 過 去 に 追 い つ か れ る ――――――――――――――――――――――――――――――― 一度だけくるりと振り向いて、ニッコリ微笑む。手を振りバイバイ未来目指して、走り出す すこし距離が開いて、もう一度振り向きたくなるけどグッと我慢 もう振り向かない。それでも忘れることなど決してないよ そう呟くと 「行け、カノン」 サガの声と、風が背中を押した カ ー テ ン コ ー ル が 止 む 時 ――――――――――――――――――――――――――――――― ふたり一緒に眠りにつくのTHANKS! [ お題配布元 / subtle titles ] back |