8 個 の お 題 (サガカノ) 【 ふ た り は い つ も ひ と つ だ っ た 】 額をひっ付け合わせて、 手のひらを重ねて、 指と指を絡めて、 そう信じていた。 【 そ こ に い な い な ん て あ り え な い 】 「昔はそうだった」 「むしろ今ではその考えのほうがありえねぇ…」 「お前は目を離すと、直ぐにフラフラと居なくなるからな」 「聖域と海界と冥界に知り合いがいるんだ。仕方あるまい」 「ひじょうに不愉快だ」 「お兄様は相も変わらず勝手だな」 【 繋 が り な が ら 離 れ て ゆ く こ と は で き な い 】 「こう、ベッドの上での挿入的な問題か?」 「違うわっ、バカ兄貴ー!」 【 君 が 好 き で 好 き で 、 少 し 疲 れ た 】 「っていうか、いつも常にものスゴく疲れている!」 きっぱり、はっきり、力いっぱい! 「その台詞、そっくりそのままお返ししても良いのだぞ、カノン」 淡々と。 「なんだと!」 ぐりん、と勢いよく振り向き。 「あとそれはつまり、わたしが好きで好きでたまらないという解釈になるが良いのか?」 さらり。 「んなッ!? ばっ、ち、ちがっっ!」 赤面ぼひゅっ! 「カノン、お前は実に分かりやすいな」 愉しげにくすくす。 【 ち ょ っ と 手 を 離 す け ど 、 こ れ は 別 れ じ ゃ な い 】 「……あれはちょっとなんてレベルじゃなかった」 「…カノン」 【 約 束 】 「……お前が守れもしない約束はもう欲しくない」 「では、これからは守れる約束をしようか、カノン」 「……例えば?」 「今日の夜、お前を甘やかしてやろうか? とかな」 「……ふーん」 「なんだ嬉しくないのか?」 「オレは、ふーん、としか言っておらん」 「ほう。では、嬉しいのか?」 「それくらい自分で考えろ」 「わかった。今日の夜、約束を守ってその身体に聞くことにしよう」 「!」 【 軽 い 気 持 ち で 、 僕 は 君 を 喪 っ た 】 「カノンの世界はわたしがすべてだと思い込んでいたから、 そんな愚かな考えが出来たのだろうか…」 「でも、お前はべつに軽い気持ちではなかったとオレは信じたい…」 【 あ の と き 僕 が 手 を 離 さ な か っ た ら 】 「二人で駄目になっていたような気さえする」 「オレはそれでもよかった…」 「カノン」 「……」 「手を離したからこその現在 (いま) だと、わたしは信じたいのだ」 「……」 「もう離すことはないよ」 「…ほんとうか?」 「誓おう」 「神にか?」 「違う、誰でもない。―― カノン、お前自身に」 「…うん」 |