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君 と 一 緒 に ん、と目を眇める。 さらさらと指通りの良い金糸に、薄紅色の花びらが揺れていた。 「シャカ」 髪飾りのようなそれに気付いたアイオリアがシャカを呼び、武骨な指が、細い髪に触れた。ひょい、と花びらを摘み、取り除く。 美しい空色の瞳は瞼の下のまま、シャカはアイオリアを見上げた。 「ああ、先程まで庭に居たのでな」 「沙羅の花びらか…」 花びらを見て、ふと、呼び起こされる過去の出来事。 ひとひらの花びらを半ば睨み付けるように凝視して、無意識の内だろう、アイオリアの表情が曇った。 シャカはアイオリアの反応を見て‘ふむ’と何か思案し出した、と思いきや、突然 「それは君にやろう」 などと云い出す。 「はあ…？花びらだけ貰ってもなァ」 まあ、だからといって花束や苗ごとくれても困るだろうが。 「わたしが‘やる’と言っているのだ。素直に受け取りたまえ」 ‘ありがたく頂戴せよ’とシャカは胸を張る。常日頃のシャカを知っているアイオリアは、これ以上言い返すだけ無駄だ、と思い、口を閉ざした。 ただすこしして、真一文字に噤まれた唇は、笑みを形取った。 何か良いことでも思い付いたようだ。 アイオリアは沙羅の花びらを摘んでいた右手を高く掲げた。不思議に思ったシャカが、そっと瞼を擡げる。それを確認して、手のひらをパッと開いた。 晴れ渡った空を舞う薄紅色。 ひとひらのちいさな花びらは風がさらって行った。 「オレの手にあるより、土に還るほうが良いだろう」 掲げた手を下ろし、彼は空を仰ぐ。 シャカは、晴れ渡った景色によく似合う太陽のような笑顔を、横から見ていた。 「何れ、わたしたちも還る大地にか」 感情を読み取れないだろう声で問うてみる。自然と触れ合い、絡まる指があった。 「そうだ。だが、その‘いずれ’はずっとずっと先のことだ」 彼は此方を見ない。 それでも真っ直ぐに前を見据える横顔が、しっかりと繋がれた手のひらの温もりが、とても好きだと思った。 だからシャカも素直な想いを口に出して、返す気になったのかもしれない。 「ああ、わたしも大いにそう思っていたのだよ」 散らない花は無い。 それを知っているからこそ、 君と生きる今日と明日が出来るだけ永く永く続くよう きっと互いに、願っている ―― end
真っ直ぐに前を見て、進む獅子。 そんな彼の隣で、何も言わず、おなじように先を見る乙女。 前と先なので実際見ている場所は違うのですが、少し通じるところがあって一緒に居る。 リアシャカはそういうイメージがあります。あと基本リア←シャカかも、とか思ったり。 back |