おもかげ (ロイドとセレス)
「お帰りになって」
―― あなたの顔なんて見たくもありませんわ
彼と同じ
藍の双眸が憎しみと怒りと哀しみを混ぜ、揺らぐ
はっきりと拒絶の言葉を告げた後は、キッと眉をつり上げ、
唇をきつく噛む
決して涙を見せようとしない少女に
ああ、強がり方もゼロスによく似ている、とロイドは思った
ゼロスは人に弱いところを見せなかったし、
セレスもそういうところはゼロスそっくりなんだろうなあ、と思います。
願い (ゼロス←セレス)
「神子さま」
そう呼んだ瞬間
透き通った空色の眸が沈痛に歪んだことを私は鮮明に覚えています
ひどく後悔しました
貴方を傷付けるつもりではなかったから
ただ私は貴方に相応しい妹で在りたかったのです
でも私は願いを取り違えました
私は神子の妹で在りたかったのではない
子供の頃私の手をとり、一緒に遊んでくれたゼロス・ワイルダーの…
お兄さまの妹で在りたかった
お兄さま、今からでも間に合いますか?
私が呼べば、貴方はあの頃のように振り向いてくれますか?
「おおお、おに、おに…っ!」
「…おいおい、人を‘鬼’呼ばわりかよ」
「ちがっ、違いますわ!お兄さまっ!!」
叫ぶように言い放つ形になってしまったけれど
私はもう一度あの頃のようにお兄さまを ‘お兄さま’ と呼ぶことが出来ました
「…っあ〜〜……セレス…お前ねぇ…」
望んでいた形とは少し違いましたが、
お兄さまが驚いたように眸を瞬き、
少し赤い顔をしてあの頃のように優しく名前を呼んで下さいましたので
きっと結果オーライですわ
『結果オーライ』 はゼロスが教えたんです。多分 (笑)
セレスもまたすごい兄想いだと思います。しかも可愛いんだ!
辛い境遇にも関わらずお兄さま大好き!お兄さまラブ!
お兄さまのためならどんぶらこ!海を越えて山越えて〜!
発作ではあはあぜいぜいしながらメルトキオにやってきます。
ロイドくんと言う旦那が居なければ、ゼロス絡みのカプは確実にセレスで考えたことでしょう。
いや、ロイドくん居てもセレゼロも良いよね (じゅるり) と思ってしまいます。
あ、セレスが攻めですよ。お兄さまは受けです (真顔)
救い (セレス←ゼロス)
「お兄さま」
ふっくらとした小さな手が伸びてくる
俺のことを神子と呼ばないセレス
小さな、小さな、その存在の一言に救われる
俺はこんなにも簡単でちっぽけだ
救いの象徴、神子の願いは世界平和なんてご立派なもんじゃない
自由になりたい
そしてこの小さな妹も自由にしてやりたい
いつか2人で一緒に暮らしたい
いつだって願いはただそれだけだった
生存ルートでも天使化ルートでもセレスを神子にはさせない、と
こんな柵を負わせるものか、と頑張るゼロスが好きです。
ゼロスはすっごい妹想いだと思います。お兄ちゃーん!
この気持ちは何? (ロイゼロ+プレセアとクラトス)
イセリア人間牧場にて
ロイドくんとプレセアちゃんと若作り天使さまと一緒
ゼロスの口から 『はあー』 と深い深いため息が洩れた。
ゼロスは床を見つめ、顔を上げ、先頭を歩くロイドとクラトスを見つめて、そしてもう一度床に視線を落とす。
無意識にそんな動作を繰り返していた。
あの2人が並んでいる図はひどく気に食わなくて、胸がムカムカする。
ロイドはどうして一度裏切った相手とあんな風に話が出来るのだろうか。
裏切られ、傷付いたときの痛みはもう忘れたのだろうか。
それとも御人好し過ぎるだけなのだろうか。
色々考えてみた結論のどれにもロイドは当て嵌まらない気がした。
(ハニーの懐の広さは俺さまには到底理解出来そうもないなぁ…)
表情をあんま繕えそうもないので歩調を緩め、3人より少し遅れてついて行く。
ああ、こういうときって後方支援も出来る魔剣士で良かったと心底思う。
ふっとまた無意識にロイドを目で追おうと顔を上げてしまった。
クラトスと話すロイドの様子はどことなく嬉しそうにさえ見えて、ゼロスの胸のムカムカはズキズキした痛みに変わり出す。
(なんで胸が痛い……?)
鎖骨の下にあるエクスフィアに触れ、衣服の上から胸に触れ、首を緩く振る。
こんな痛みは気のせいだと自分に言い聞かせた。
これ以上心乱されるのは御免だ。あの親子を見るのは止そう、と思い
なるべく2人を見ないように視線を動かす。
するとプレセアがロイドを… ―― いや、クラトスを見ていることに気が付いた。
(ああ、そういえばプレセアちゃんはあいつとあんまり面識ないもんなぁ…)
そう思いながら何気なくプレセアを観察してみる。
ぱっちりと大きいけれど感情を湛えない双眸が真っ直ぐにクラトスを見つめて……
それがしばらくてふわりと和らいだ。
彼女の表情の変化に軽く首を傾げ、歩調を早める。
ゼロスはプレセアに追いついた。
「プレセアちゃ〜ん」
「…はい?なんですか、ゼロスくん」
「いや、なぁんか珍しく嬉しそうじゃない?」
俺さまの気のせいじゃないよなーと最後に付け加え問い掛ける。
プレセアは一瞬考え込み 「はい、嬉しいのかもしれません」 と言い、
ぎこちなく微笑んだ。
「私…クラトスさんのことはよく知りません」
「うんうん、俺さまもよく知らない」
これは嘘だ。
と言ってもあの子持ち天使の真意がよくわからないのは本当だから
あながち嘘でもないかもしれない。
「でもロイドさんを見る眸が優しい人だな ―― と先程わかりました」
表情を和らげた理由を説明しながらプレセアはゼロスを見上げた。
「ゼロスくんと同じですね」
「…はあ?俺さまとぉ?」
プレセアの思考はいつもゼロスの想定外だ。今回もそうだった。
思わず声が裏返ってしまう。
「ゼロスくんもロイドさんと居ると優しい眸になります」
―― あと少し淋しそうにも見えます
プレセアの言葉にゼロスは絶句するしかなかった。
プレセアちゃんはゼロスくんのこともパパりんのこともお見通し。
人の感情に敏い子は大好きです。
ちなみに人の感情の変化に敏感なのは
ゼロス>プレセア>>>>>ロイド>コレット>>>>>しいな、ジーニアス
って順番だと思っています。
パパりん、先生、会長の3人は気付いても黙って見守る傾向ですね。
もう届かない (ゼロス天使化)
『 輝く御名の下
地を這う穢れし魂に
裁きの光を雨と降らせん
安息に眠れ
罪深き者よ 』
淡々と抑揚のない声
普段とは違う、違いすぎる冷たいそれに背筋が凍りついた
残酷に響き渡る、その詠唱は、己を刺し貫く光の刃となるだろう
―― 止めないと!
でも体が動かない
詠唱に合わせて、深紅の髪が揺れる
透き通った金色の羽根が煌めき、キラキラと光を放つ
そんな彼に呆けたように見惚れてしまっていた
『 ジャッジメント 』
光が周囲に降り注ぎ、仲間の皆の悲鳴が聞こえた
遠い場所で起こっている出来事のように微かにしか聞こえないのが不思議でならなかった
ぼんやりしている俺を天藍石の双眸がチラリと見遣る
そうして冷たく微笑んだ
―― 俺さまを止めないとお前の大事なものが全部無くなっちまうぜ
「ゼロス……ッ!!」
思考がようやく正常に戻った
ああ、そうだな。
そうかよ。
戦うしかないのか…!
なんでこんな道しか選び取れなかったんだよ、お前は…!
そう叫びながら
揺れる赤と、飛び散る赤と、舞い落ちる金色の羽根の中戦う
二刀の剣の切先を彼の喉元に突き付けて
―― どうして…
滲むゆく視界の先に居るゼロスに問い掛ければ、
―― たぶんお前が好きだからだ
泣き笑いみたいに、透き通った微笑みが返って来て
―― だからお前に殺して欲しかったんだ
残酷な、迷いのない言葉が届いた
小さな、小さなその声はきっと俺にしか聞こえなかった
抱いた願いは (ゼロス)
なあ、ロイド
苦痛の‘生’を断ち切って、
俺を解放して欲しい
そうしてお前の心のいちばん深い場所に
決して癒えることのない傷が残れば良いな…
最期に抱いた想いは、そんなひどい妄執染みた願いだった
上の小話の続きです。
ジャッジメントの詠唱はゲーム中まんま使わせて頂きました。
あのゼロスが真剣に 「安息に眠れ」 とかロイドに向かって詠唱する、という事実だけで
MOEゲージがいろいろ危険です。愛憎 M O E
信じたいけど信じられない
差し伸べられた手を取りたいけど拒絶されることが怖い
だからやっぱりロイドの手は取れないゼロス
ジレンマMOEです。
天使化ルートのゼロスはロイドに選んでもらえなかったから
せめてロイドの手で自分の‘生’を断ち切って、
ロイドの中に自分を残したかった気持ちもあったのかなあ、とか思うと
せつなさいっぱいですが、ときめきです。
揺れる想い (ロイ←ゼロ)
欲しかったものは
愛情とか優しさとかドロドロに甘やかしてくれる誰かとか
たぶんそんな感じ
条件を満たしてくれる相手なら誰でも良かった
べつにロイドじゃなくても良かったんだと思う
ただお前じゃなきゃ
疑心の塊だった俺さまの心が揺らぐことなんて絶対になかった
「やっぱロイドくんが良いなあ…」
いつも通り
後ろからぎゅうと抱きつけば、
だー重い!うっとうしい!と文句を言われて
それでも俺さまを振り払ったりしないロイドは
やっぱり優しくて、
もう少しだけ
あと少しだけ
一緒に居たいと思ってしまう
信じたい、と思ってしまった
裏切る前にロイドくんに絆されて (おい) グラグラしているゼロスくんです。
MOEすぎだよロイゼロって感じですロイゼロ (二回も言うな)
しかしゼロスがかなり乙女に (笑) いや、だってゲーム本編でも乙女なんだもの
ロイドくんに信じてもらえないと裏切っちゃうってあなた何処のヒロインですか!
可愛い22歳と漢前の17歳だなあ (きゅんきゅん)
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