我が家がいちばんだと思うのは、傍らが温かななのは、
空気のようにそこにいて当たり前の存在を見つけたからだと、きっと思う。
+ + +
「銀ちゃーん」
聞き慣れたカラコロとした声に呼ばれて、読んでいたジャンプから顔を上げれば、パジャマと洗面器とアヒルのオモチャを腕に抱えた同居人の少女が銀時を見ていた。
「んあ? どーした」
ソファに寝転がっていた体を起こし、天パの髪をがしがしと掻きながら気怠るげに返す。
神楽はちょこんと銀時の膝の上に乗っかった。
「いっしょにお風呂入るネ」
「おわっ!?」
そして何処に持っていたのか、目の前の銀髪にシャンプーハットをガボッと乱暴に被せてへらっと微笑む。問題発言もちゅどんと投下。
「……お前ね」
難しいお年頃の小娘だっつーのに、と苦笑いを一つ。
でも、まあ、無邪気な笑顔を向けられて慕われて悪い気などしないのだけど。
「言っとくけど、銀さんロリコンじゃないからね」
片手で簡単に持ち上がる小さな体を荷物のように肩にひょい。
「なに言ってるネ。私もおっさんに興味ないヨー」
「誰がおっさんだ、クソガキ」
減らず口はお互い様で。
「……って言いながら、結局一緒に入るんですね…」
どつきあう親子のような、兄と妹のような、似た者同士の背中を新八の声が見送った。
[ end ]