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BREAHT OF FIRE X

 血塗れの腕 - かいな - と知りながら
 それでも君に手を伸ばす

 その柔らかい頬を赤い軌跡で穢しても
 手を伸ばさずにはいられない


 [ end ]
リュウ→ニーナ
未来の見えない暗い世界でリュウはニーナを選び取った。それが何よりも尊い気がする。
07.06.26 up





硝子細工に触れるみたいに

 壊れ物を扱うときのように震える手にそっと触れる

 血塗れでも大丈夫

 わたしに伸ばされたあなたの手はこんなにも優しい

 それにほんとうに血塗れなのはあなたじゃなく、
 人間 - ひと - を踏み外したわたしのほうだから


 [ end ]
リュウ←ニーナ
でもニーナが望んだわけじゃない。選び取ったわけじゃない (多分)
リュウは大人たちのそれが通る世界が許せない。
07.06.28 up






この想いは秘密

 ―― 立ち止まったときは貴方が手を引いてくれるの


 ふいに貴方が立ち止まり、後ろを振り返る。

 「ニーナ、疲れた?」

 声をかけられて、自分がリュウとリンと少し離れて歩いていることに気がついた。
 慌てて顔を上げ、ぶんぶんと左右に頭を振る。

 「リン、少し休もう」

 それを見た貴方は困ったような顔をして微笑うと、リンの許に行き、そう告げる。

 大丈夫だから!と、叫びたくても
 わたしの思いが言葉になることはない。

 ペタンとその場に座り込むと、ギュッとスカートの裾を握り締めた。

 リンは 「先を見てくる」 と、言い残して行ってしまったから今はリュウと2人きり。
 わたしは、隣に座った貴方をじっと見つめた。

 いつも いつも わたしを護ってくれるリュウ
 わたしは貴方に何か返せている?

 言葉さえ持たない無力な自分を呪う。

 「良かった…」

 「う?」

 しょんぼりと俯いていると、リュウが小さく呟いた。
 その言葉に首を傾げる。

 「あ、おれも疲れてたんだ。ずっと歩きっ放しは疲れるよね」

 リンはとっとこ進んじゃうからさ、追いつくのが大変。と、
 貴方が苦笑いをしながら言うから瞳をぱちくりさせた。

 「ニーナはおれよりもっと大変だよね」

 わたしの脚の横に、リュウが同じように脚を伸ばす。
 当然、リュウの脚のほうが長かった。

 「リンは脚が長いからさ」

 貴方がむぅ、と眉を顰めて、真剣にぼやくから無性におかしくなってしまう。
 沈んでいた気持ちが少し浮上した。

 (変なリュウ…)

 (でも…)

 「あ、り…が……と」

 「ニーナ?」

 必死で言葉を搾り出すと、リュウが驚いたように蒼の瞳を瞬いた。
 でも、わたしは同時にけほけほと咽こんでしまって…

 「ニーナ!?」

 「んー」

 リュウの悲痛な声が聞こえる。
 慌てて、支えてくれた手を握り返すと、緩く首を振り、顔を上げて、少し笑った。

 「喉、痛い?」

 そっとわたしの喉許に触れて、心配そうに問い掛けてくるから
 もう一度ゆっくりと首を横に振った。

 こんな痛みは、痛みのうちに入らない。

 痛くない、と伝えたけど、貴方は心配そうな顔をしたまま
 そっと宝物にでも触れるかのように抱きしめてくれた。

 リュウの温もりが、嬉しくて、胸がぎゅっとなって、涙が出そうになる。

 リュウは、変わってると思う。
 こんなわたしを人間として扱ってくれる。
 優しくしてくれる。
 それがとてもとても嬉しい。

 嬉しい気持ちを少しでも伝えたくて
 広い背中に腕を回して、ぎゅっと抱き返した。

 わたしの行動にリュウは少し驚き
 頬っぺたを少し赤くして、照れくさそうに笑った。

 「そろそろ行こうか」

 耳元で小さく囁いて、リュウが立ち上がる。
 んーっと伸びをすると、そのまま天を見据えた。

 つられてわたしも天を見る。

 あるのは真っ暗な天井。

 青い空なんて
 遠過ぎて

 「必ず助ける」

 それでもリュウは力強く呟いて、わたしが立つために手を貸してくれた。
 その手をギュッと握って、立ち上がる。

 「もう少し頑張ろう」

 「んっ」

 優しい言葉と共に、わたしの手の甲をそっと撫でてくれたリュウ。
 その好意に笑顔で応える。


 リュウ
 リュウ
 ありがとう
 何度言っても足りないの

 そしてゴメンなさい

 歩き続けたその先に
 たとえ空がなくても
 わたしは良いの

 ただあなたの傍に居たいの
 朽ち果てるそのときまであなたの隣に居たいの

 こんなことを伝えたら
 きっと
 あの綺麗な蒼の瞳が曇ってしまうから
 絶対に告げないし
 言えないけれど…

 あのねリュウ。あなたが大好きよ
 この手を決して離さないでね


 [ end ]
リュウ×ニーナ
ニーナはきっと空があってもなくてもリュウの傍に居たいと思っていたでしょうね。
04.09.25 up





おいで

 「おいで…行こう!」

 少年の声に顔を上げ、少女は不安げな表情を浮かべると、差し出された手に自分の手を重ねた。
 ギュッと握り返したら潰れてしまうのでないかと言う程、少女の手は華奢で、何かに怯える様に小さく震えていた。

 暗く狭い通路を、ぺたぺたと少女の足音が響く。
 時折、野良ディクに襲われ、それを薙ぎ倒す間だけ2人の手は離れた。
 戦闘が終わると、少女の許に駆け寄り、少年は再びその手を握った。

 『恐くないよ。大丈夫』

 直接的な言葉はなかったけれど、その行動が少年の気持ちを全て物語っていた。

 次第に不安げだった少女の顔が綻ぶ。
 それを見て、少年も安心したように微笑んだ。

 「ニーナ」

 言葉を持たない少女は、優しく名前を呼ばれたときギュッとその手を握り返した。

 ―― 大丈夫。恐くないよ。君はおれがこの手で必ず護るから


 [ end ]
リュウ+ニーナ
廃物遺棄抗でリンと出逢ったときの二人。手を繋いでいたのがラブリーでした。
04.xx up (更新日不明)