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OOFURI

 年 上 の 花 嫁 さ ん は 好 き で す か ?

 【 自己紹介をお願いします 】


「榛名元希。プロの野球選手を目指す、速球ストレートが武器の左腕、17歳でっす。オレの恋人はタレ目で、チビで、ちょっと生意気で、でもかっわいい、4つ年下の男のコです。名前はタカヤって言います」

「今紹介されたタカヤです。正確には阿部隆也。……あの元希さん…」

「あン、どうした?」

「お願いですから、そうやって、名字端折るの止めてくださいよ」

「ま、良いじゃん。つかお前ちゃんと自己紹介しなきゃダメだぞー」

「ぶっ! ほ、頬っぺた突っつくのも止めてください。…恥ずかしいな」

「タカヤのケチー」

「ああ、ほら。インタビューのひと困ってますよ」

「タカヤとオレのいちゃいちゃ邪魔するやつならほっとけよ」

「そんなわけにはいかないっすよ。あ、すみません。えっと、オレはホントは3年前の世界の阿部隆也らしくって、何でかはよく分かんないんスけど、ある日、目覚めたら元希さんの部屋にいて、元の世界に戻れなくなりました」

「タカヤはずっとここに、…オレの側に居れば良いだろ?」

「……元希さんが望むなら、永遠に」

「ん。じゃあ望むから、いろよ。何処にも行くなよ。帰っちゃダメだ」

「はい、元希さん」


 【 これはこんなバカップルな二人のお話です 】





「もっ、元希さん、話があります!」
「ああ、何だよ?」

 階下で注いできた牛乳と麦茶の入ったマグカップを手に振り向く。
 麦茶が入っているほうをタカヤに手渡すと、ありがとうございますと言う素直なお礼の次に、……オレも牛乳って言ったのに、とくちびるを尖らせた。
 おれの分を注いでるときに牛乳が切れたんだよ。それにタカヤ、お前はちっせーほうが可愛い、とサルのように短い髪を撫ぜる。
 タカヤは、小さいままなんて嫌です、ともう一度不満を訴えた。
 もう、仕方ねぇなー。おれは自分の分の牛乳を口に含む。
 ベッドの下の座布団の上、いつもの定位置に座っているタカヤの顔がある高さまで屈んだ。
 何をする気だろうと、くりくりのタレ目が不思議そうにおれを見つめてくる。

「ん……」

 そのまま、くちびるを重ねた。
 キスをするために重ねたわけじゃないから、二人とも目は閉じない。開けっ放しの目で見つめ合って、ちょっと口開け、と伝える。物分かりの良いタカヤはそれに従い、口を開いた。タカヤの成長促進飲料を溢さないように気をつけながら、口移しで流し込んで、ぷはっと大きく息を吐く。
 牛乳は温くなるとあんまウマくないな。そう思いつつ、タカヤの喉がコクンと上下したのを確認する。
 あ、着いてるぞ。口の端の白い跡を、指の腹でちょいちょいと拭ってやった。

「タカヤ、早くおっきくなぁれ」

 そして魔法の呪文のように唱えて、小さいのもカワイーけどな、と付け加えておく。元希さんはいつも一言余計ですと、タカヤはむーむー頬っぺたを膨らませた後に、ちょっと笑った。

「あっ、だから元希さん、話!」
「へ? あ、そだったな。悪い」

 約20センチの身長差が悔しいと、いつも訴えるタカヤは、おれにも座るように促す。座ると多少身長差が縮まるからだ。ま、大して変わらないとは思うんだが、簡単に叶えれる願いなら、叶えてやろう。
 ベッドに座って、タカヤここに来ーい、とトナリをぽふぽふ叩く。
 タカヤはもそもそとベッドに乗り上げて、おれの左手を握った。
 キョトン。首を傾げる。
 よく見ると、タカヤの頬っぺたは真っ赤っかに染まっていた。茹で蛸みたいだと思う。

「元希さん」
「おう」
「好きです。だいすきです」
「うん。オレもお前のことだいすき」

 熱烈な愛の告白にニッコーと微笑って応える。
 タカヤは小さな両手で、おれの左手を包み込む。まるで宝物でも扱うかのように、大事に握ってくれた。

「は、はい。あの、その……だからオレと、けけけけっ結婚してくださいっ!」



「―― はっ??」

 半年くらい前にタカヤと出逢って、世の中には口では説明出来ないような、不思議なことがいっぱいあるんだなー、と何度も何度も驚いたおれだったが ―― 流石にちょっと、今回の出来事には、脳ミソがしばらく固まってしまった。



 [ 続きはオフラインで ]
タカハル
序章って言うか、中途半端ですみません。戸田北オンリーでこれの完全版が出したいです。
08.06.10 up

ちったいタカヤとでっかい元希さんシリーズです。
戸田北オンリーで完全版出ます。うさこさんの漫画とちーの小説コラボ 【08.09.07追記】