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OOFURI

君が一番好きな場所にリボンをかけて

 赤いリボンを手に、三橋はくちびるを嘴の形に固まっていた。
 質問の意図分かってっかな、と一抹の不安を覚える。

「あー、三橋…」
「た、たりな、い…」
「へっ?」

 声を掛けようとして、思いがけない言葉に素っ頓狂な声が洩れた。

 ど、どういう意味だ。

「…けっこう長いぜ?」

 べつに足りなくはないだろ、とリボンの端を摘まむ。

 三橋は、うーっ、と真剣に思いっきり眉根を寄せて、オレの頭にリボンを掛け始める。
 続いて顔のほうに掛け掛け。
 首にも掛け掛け (…って待て待て。ここはあんまり締めんな。引っ張んな。苦しいって)
 肩から腕と胸の辺りにも掛け掛け。

 そこでリボンは無くなった。

「やっぱり足りない、よ」

 ぶわわ、と盛大に泣くので、

「お前な。何処まで掛ける気だったんだよ」

 ちょっと呆れを含ませて聞いてみる。

「ぜんぶ、だよ」

   ―― あべくんのぜんぶが一番です。

 返球された言葉に、呆れなど一気に吹き飛んだ。
 リボンが絡まった腕をめいっぱい伸ばして、三橋を抱きしめる。


 オレのエース兼恋人は貪欲で欲張りで、とてもとても可愛いと思う。


 [ end ]
アベミハ
ミハ子は貪欲、欲張りなところが良いです。そういう受け子だいすきです。
08.05.25 up





練乳イチゴかき氷 (えろくね?)

 誕生日だろ。何が欲しい、と聞けば、初夏の青空の下、汗を拭い、
 三橋は 『アイス』 と小さく呟いた。

 せっかくの誕生日なのにもっと高いもんねだれよな、と苦笑いをひとつ。

 コンビニで買い与えてやったカキ氷を、美味そうに、それはそれは倖せそうに、
 しゃくしゃくと食す横顔を見つめて、三橋が外したプラスチックの蓋に記されている商品名を見た。

 練乳イチゴかき氷ってマジで甘そうだな、とちょっぴり眉を顰める。

「あ、べくんも食べる?」

 眉を顰めた自分に気付いたのか、あわわ、とこちらを向く三橋。
 べつに良いよ、と首を振り掛けて、口の端からカキ氷の雫を垂らしている三橋に気付き、途中で止めた。

「ああ、くれよ」
「ん、む…」

 シロップで染まった赤いくちびるを奪って、
 むしろお前に練乳ぶっ掛けて食いたいと思ったとは、

 …ちょっと言えない。


 [ end ]
アベミハ
ミハ子おたおめでした。祝っている気がしませんね。ごめんミハ子…。
でも練乳苺カキ氷を食べるミハ子は可愛いと思います。エロいと思います (ん?)
ミハ子には本当はコンビニとかのじゃなくって、お祭りの屋台とかで売っている容器から零れんばかりの、てんこ盛りの練乳苺カキ氷をあげたい所存です。
08.05.17 up





糊でくっつけばいいのに

 「そ、したらあべくんと、ずっといっしょだ」

「…あー、けどな三橋。マウンドとホームは18.44メートル離れてないと駄目だかんな」

 キラキラと瞳を輝かす恋人に、言いたくないけど、無情な現実を告げてみた。

「!」

 泣くかと思った三橋は、くちばしの形に口を開けっ放しにしばし停止。

「…み、みはし?」

 大丈夫だろうか、と心配になり、肩を叩くと、

「制服だけ糊つければ良いと思う、よっ」

 練習着とユニフォームには糊つけない、よ、オレ! と、もう一度琥珀色の瞳が輝くので、
 オレたちクラスも違うから、とは言えなくて、

「ああ、うん、そうだな。じゃあ制服に付けとくか」

 色素の薄い頭を引き寄せて、よしよしと撫でてやった。



(だだだだっ、誰かツッコミー!)

 後ろで野球部主将が胃を痛めていることに、西浦バッテリーが気付くことは、
 ……おそらくこの先もない。合掌。


 [ end ]
アベミハと花井キャプ
梓は二人のやり取りと田島さまの天真爛漫っぷりに振り回されていると良いです (笑)
08.05.14 up