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OOFURI

端の方をちょっとでいいから

 きゅむ、と。

 遠慮と怯えを混ぜ合せたような風におずおずと伸びてきた右手に、一瞬苛立ち、いやいや待て待て落ち着けオレ、と深呼吸を一つ。

「なんだよ?」
「あべく、歩くの、早い」

 以前よりはちゃんと、意見を言ってくるようになった三橋が途切れ途切れの言葉 (これはやっぱり以前と相変わらずだ) で伝えてきたことに、瞬きを二つ。

「…で、だから、そんな服の端掴むのに至ったってわけか?」

 コクリと返ってくる肯定に、ふっと口角が上がる。

「う?」

 ニヤケ面を堪えようとするオレがおかしかったのか、きょと、と傾げられる三橋の頭を引き寄せて。

「ばか」

 柔らかな髪をくしゃくしゃと三回撫ぜる。

「もっと全身でぶつかってくれば良いだろ?」

 俺がやれるものなら、一つでも二つでも三つでも、五つでも、百個でもやるから、そんな遠慮は要らないんだよ。


 [ end ]
アベミハ
でも、ミハ子は欲張りなので本当はいっぱいが良いんだよって阿部さんは分かってくれていれば良いな、って思います。
10.10.02 up