HOME >>

OOFURI

 冬の寒空の下、木枯らしと北風がぴゅーぴゅー。

 そこは自分の定位置。
 幼馴染みの愛車 。
 ただしチャリンコなので人力。
 ちなみに後部座席 。
 ケツが痛くならないよう、おれが乗るときだけ座布団常備。

 流れていく景色を見ていた。

 またぴゅーぴゅーと北風が吹き付け、黒髪を巻き上げる。
 首のマフラーを口元まで引き上げて、見慣れたブレザーの背中にぎゅうっと抱き付いた。

「寒いの、榛名?」

 秋丸は首だけで振り向き、問い掛けてきた。

「余所見運転、ダメだぞー」

 誰を後ろに乗せてっと思ってんだ、と厳重注意。

「はいはい」

 安全運転しますよ、とお返事。
 ちょっと軽い感が否めなかったのは、まぁ、多目にみてやろう。

「肉まんでも買って帰ろっかー?」

 そして、白い息と共に告げられた言葉にコクン。
 見えないだろうから、わざと額を擦り付けるように頷いてみる。

「はるな」
「んあ?」
「くすぐったいよ」

 背中から伝えた返答に秋丸は柔らかに微笑った。


 [ end ]
アキハル
以前、拍手のお礼画面に置いていたものです。
09.xx up