せかいの終わりだって倖せ
もしもあしたがせかいの終わりだとしたら?
そんな陳腐な心理テストがあったりする。
おれの恋人はロマンチックな言葉など吐かない。
その代わりに、
「やだやだ」
「ふざけんなよ」
「オレまだプロになってねぇのにっ」
駄々っ子になっていた。
もしもあしたが本当にせかいの終わりになれば、
おれは榛名を宥めながら逝くんだと思う。
常と何も変わらない。とても気が抜ける。
でもそれは倖せな最期だって思えちゃう自分の思考が多分いちばんお気楽で気が抜けると思う。
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アキハル
下の榛名バージョンと対です。
08.07.11 up
欲しいものは欲しい
もしもあしたがせかいの終わりだとしたら?
そんな陳腐な心理テストがあったりする。
そんなんいやだ、ふざけんなと雑誌を投げ、秋丸の腕に収まった。
あーあ、と視線だけで雑誌の行方を追い、遊びだからねぇ、と秋丸は言う。
……遊びねぇ。
おれの意見が気になるらしいので仕方ねェなと、ちょっと試しに考えてみた。
「天国でも野球ってできんのかな」
ふと、そんなことが気になる。
バットあるかな。ボールあるかな。
球場がなくてもせめてただっ広い場所がありますように。
場所さえあれば自分で作っても良い。
大真面目に言えば、
「9人いないと出来ないよ」
秋丸は笑った。
「7人だろ」
おれは即座に返答する。
秋丸は驚いたようにキョトンと瞬きを繰り返す。
「…ンだよ。計算間違ってねーぞ」
9からマイナスおれと秋丸で7だろ。
うん、ちゃんと合ってる。
「天国でもオレは榛名のキャッチなんだ」
「そうだよ。ったり前だろ」
なんだよ。お前居ない気なのかよ、とムカついてぶすくれた。
「ううん。居るよ」
榛名が居る場所にいるよ、と頭をなでなでされる。
「ん。だよなー」
それに頷いて相手チームも欲しいよなーと二人で微笑い合うのが、
おれたちのせかいの終わりの前日。
心理テストの結果は二人とも知らない。
[ end ]
アキハル
そして、書いた本人もそんな心理テストがあるのかどうかは知らないという (こら)
08.07.11 up