どうか、隠し通せなくなるその前に
おまえが想うよりずっと近くにいるのに、この想いは届かない。
俺たちは近くにいすぎるのでしょうか?
ふと考えてみる。
俺は雪男の、
困ったように言う 「兄さん」
呆れたように言う 「…兄さん」
ブチ切れて眼鏡カチ割れそうな感じで怒鳴る 「兄さん!」
何かを耐えるように切羽詰まったように言う 「にい、さんッ」
愛おしさを全力でこめて紡ぐ 「兄さん」
その全部がだいすきだ。
小さな頃の泣き虫なあいつも、
いつの間にか俺の背を追い抜かした現在 (いま) の生意気になったあいつも、
俺はホントにだいすきで…、
あいつはなんでもかんでも溜め込んで俺に話してくれないから、
ムカつくことだってそりゃ沢山あって、その分だけ淋しくもあるけど。
でも、雪男は俺のたったひとりの弟だから。
「兄に抱く感情じゃあ、ないよなあ…」
だから、そんな泣きそうな声でひとりぼっちみたいに呟くなよ。
なぁ、雪男?
俺はお前がちゃんと面と向かって俺と向き合ってくれる日をずっと待っている。
[ end ]
雪燐
どうか、この想いが隠し通せなくなるその前に。
先日、アップしたものの燐サイド。
11.08.06 up