HOME >>

BlueExorcist

 ※ 原 作 基 準 の 鳩 時 計 そ の 後 の 妄 想 。


 ↓




 ↓




 ↓


ついでに脚をもいでってやろうか

 バタンと扉が開閉する音におちていた意識が浮上した。

 一体ここはどこだろう…。
 自分は何をしていたのだっけ?

 ぼんやり考えて、肌を刺す痛みに頬に触れると、そこには爛れた火傷痕があった。
 そこでようやく、末の弟との森での出来事を、あの青い炎を思い出して、ギリッと奥歯を噛み締める。

 それと同時にもの凄い衝撃が体を襲った。

「…かはっ!」

 真っ暗な果ての見えない空間、かなりの距離を吹っ飛ばされたように感じた。

 憑依している人間の体が悲鳴を上げて、それが脳に伝わり、痛いと思う。

 強かに打ち付けた背を庇いながら、顔を上げれば、暗闇に金色掛かった緑に光る双眸がこちらを見下ろしていた。

 ガッともう一度、足蹴にされる。

「アマイモン。今日は私の言う通りに動けと言った筈だ」
「…ボクは、負けてなかった、です」
「……まだ言うか」
「兄上がジャマをするからァ!」
「…アマイモン!」

 苛立ったような声のあとに、ドガッ! と先程以上の衝撃。骨が何本かイった。

「……うぅっ…!」


 ――……あのままだとお前が死んでいただろう。


 痛みのあまり気を失う寸前、微かに兄の声が聞こえた気がした。





 メフィストはぐったりと意識のない弟の体を抱きかかえた。

「まったく、本当に聞き分けのない…」

 重いため息と共に、アマイモンに届くことのない言葉を紡ぎながら、パチンと指を鳴らす。固く閉ざされていた鳩時計の扉が開いた。

 正十字学園・最上部のファウスト邸に戻ると、柔らかなベッドにその体を横たえさせる。

 目を覚ましたら、また駄々をこねるだろうか、と考え、気のせいではない頭痛を感じた。

 弟が統べる草木と同じ緑の髪を撫でて、

「いっそお前のペットのように鎖で繋いでやろうか。いや、それより脚をもいでやろうか」

 物騒なことを告げながら、火傷の上からその頬に口付けた。



 ―― 私の元から離れていくようなものならお前には必要ないだろう?


 [ end ]
メフィアマ
原作未読の方には不親切極まりない感じで申し訳ありません。
次の日曜日アニメ青エクで出るだろう鳩時計のそのあとのお話です。
しかし、アニメでアマイモンが出なくなったら、落ち込みますな……。
11.07.21 up