続く未来がいとしいので
夜も更ける頃、寝室への扉を開けた私を待っていたのはなんというか、予想通りの光景だった。
「…またここで寝ているのか」
天蓋付きキングサイズのベッドで、すよすよと寝息を立てているトンガリ頭と、ベッドの下にいる黄色い小鬼。
アマイモンを物質界に呼び寄せてからというもの、以前より増えてしまった気がする溜め息を零し、アマイモンが丸くなっている場所とは反対側からベッドに腰を掛けた。
気にせず寝てしまえば良いと思うのだが、この愚弟ときたら。
「ん、……あにうえ…?」
「やはり起きるか」
私が就寝しようとしてここに来ているのに、起きるのだ。
「私の気配で目が覚めるなら、自分の部屋で寝なさい」
この広い屋敷の中、客室とは違う、ちゃんとした自分の部屋をアマイモンには与えている。
それでも、弟はフルフルと首を振った。
「だって、兄上はお忙しいから、こうでもしないと、いっしょにいれないじゃないですか…」
幼い仕草でくしくしと目元を擦りながら、そう言うアマイモンに、やれやれ、と二度目の溜め息。
以前、ボクもそれ欲しいです、と言ってきてプレゼントしてやった浴衣の袖から覗く細い腕を引き寄せた。
「わはぁい♪」
こちらの腕の中にスッポリと抱きしめて、深緑の髪を撫でる。
「おやすみ、アマイモン」
「はい、兄上。おやすみなさい」
嬉しそうな声音に明日もまた、溜め息をついて、アマイモンと共に眠るのだろう、と思った。
[ end ]
メフィアマ
きみと過ごす、変わらず続いていく未来 (あした) がいとしいと思うので。
幸せな溜め息があっても良いんじゃないかなあ、と思ったりです。
11.11.01 up