HOME >>

BlueExorcist

跪いてキスを

 ※ ぬる〜くR-15


 ↓




 ↓




 ↓


 メフィストは毎日忙しい。正十字学園理事長の仕事と正十字騎士團日本支部長の仕事と、萌えへの追求と、その他諸々の理由で。
 その日の夜はファウスト邸に戻ってきてからも、仕事に関することでパソコンの前から動かない兄に、アマイモンは丸い眉を寄せていた。

「あにうえ」
「なんだ?」
「お屋敷にいる間くらい、お仕事やめては如何ですか?」
「仕方無かろう。今、少し立て込んでいるんだ」

 口を動かしながらも、リズミカルなタイピング音は止まらない。
 アマイモンは眉だけではなく頬も膨らませた。

「あにうえ…」
「ほら飴をやるから、向こうに行っていなさい」

 まだ何か言いたげにしているアマイモンに気付いたメフィストは、パチンと指を鳴らす。
 兄の魔法によって、アマイモンの手のひらにはカラフルなキャンディの雨が降った。
 でも、違う。
 キャンディは大好きだが、アマイモンが今、本当に欲しいものこれではない。

 アマイモンはキャンディを一旦、ソファの上に置くことにした。
 そして、そのすぐ側で眠っているベヒモスの頭を撫でてから、メフィストが向かう執務机に近付く。
 まず後ろへと回り込み兄の椅子の背凭れを引っ張ると、机と椅子の間に空間を作る。次に、アマイモンは素早く執務机の下に潜り込んだ。

「おい、アマイモン。何をしている?」
「大人しくはしてます。でも、向こうには行きません。ボクは兄上のお側にいたいです」

 普段から斜め上の行動に出ることの多いアマイモンに、メフィストは呆れながらも、その口から返ってきた理由には薄く微笑んだ。

「やけに可愛いことを言うな」

 両足の間にいる弟の頬を撫でる。
 アマイモンは自分に触れてくる手に嬉しそうに頬擦りした。

「まぁ、良いだろう」

 イイコにしているならそこにいても構わん、と言って、メフィストは再びパソコンモニタに視線を戻した。

 照明の届きにくい少し暗い机の下で、アマイモンは兄の浴衣の裾から覗く白い脚に頬を寄せる。

 そうして、しばらく大人しくしていたアマイモンだったが、突然、テーブルの下、ちゅぷと水音が響いた。同時にメフィストの足の指の先には湿った感触が走る。
 視線を下ろせば、メフィストの足の甲にちゅっと口付ける弟の姿があった。
 甲の次は再び、足の指をしゃぶる。

「んッ、ん…」

 くぐもった声の効果もあってか、日頃お菓子ばかり舐めている赤い舌がやけに艶っぽく見えるのが不思議だ。

「美味いのか?」

 ふと思い付いて、足の親指でぐっと舌を押さえつけてやる。

「んぁ、っ…!」

 閉じることの叶わないアマイモンの口の端からは、唾液が滴り落ちていく。

「んんぅ…、おいしくは、ない、です」

 苦しそうに返しながらも、頬を紅潮させ始めたアマイモンに、メフィストは口角をツリ上げる。

「アマイモン、知っているか?」
「なにほでふか?」
「爪先や足の甲への口付けは奴隷や崇拝の意味だ」
「ぅぐ、んっ…!」

 愉しそうに言いながら、メフィストの指先がアマイモンの口を容赦なく攻め立てた。

「ケホッ…」

 流石に辛かったのか、一旦口を離したアマイモンの唇を、逃がさないとばかりに今度はメフィストから指を差し出す。

「ちゃんと舐めなさい」
「うッ、んんーッ…!」

 片足は口内に突き付けたままにして、もう片方はアマイモンの首元へと伸ばす。足の指をネクタイに引っ掛けてみたが、緩めることは出来ても、脱がすことは難しそうだった。

「アマイモン、脱げ」
「ぁ…あにうえ、お仕事は?」

 ハァハァと興奮した様子のアマイモンが聞き返してくるので、

「お前がイケナイ子だから、進みそうにないな」

 艶々とした笑みで見下ろし返してやる。

「ぁ…」

 先の行為を期待してだろう。コクンと喉を鳴らした弟の顎を、足の甲で掬い上げてから、

「可愛がってやるからおいで」

 と告げた。

 兄のその言葉に、アマイモンは甘い眩暈を感じてクラクラする。
 口の周りを汚したまま恍惚と頷くと、のろのろと愛しい兄の膝上に乗った。


 [ end ]
メフィアマ
女王様みたいな兄上になりました
11.10.25 up