がまま


 ―― ピピッ、ピピッ、ピッ!

 (うるさぁ〜い…)

 ウザいアラーム音に眉を顰める。
 勢いよくスイッチをOFFにした。
 もそもそと起き上がり背筋を伸ばす。
 生欠伸をひとつしてもう一度、布団の中へ潜り込んだ。
 隣にある広い背中に抱きつく。

 (なんでそっち向いてんの…)

 むーと眉を顰めたまま ”こっち向け〜” と念じる。
 オルガは少し唸って寝返りをうつとオレの身体を抱きしめた。
 朝日に透ける金糸を指先で梳いていると、パチとアクア色の瞳が開かれる。

 「ふふ…オルガぁ、おはよ〜」

 「んー…シャニ、おはよ」

 自分が出来る精一杯の笑顔を贈ると、オルガはお返しに頬っぺたへちゅーってしてくれた。

 「ん〜〜〜…もっと…」

 嬉しくなってもう一度キスをねだる。

 「キスだけじゃ終わんねェけど?」

 オルガの首に腕を絡めグイと引き寄せると、オルガが困ったように苦笑した。

 「それでも良いんならもう一回してやるよ」

 告げられた警告に何度か瞬きを繰り返す。

 「どーする?シャニ」

 愉しそうに問いかけるオルガ。
 答えなんか決まってる。

 「もっと…いっぱい」

 オルガにしか聴こえないくらいの小さな声で囁く。

 「了解」

 口唇が再び重なれば今日のシュミレーションは遅刻決定。
 痛いのは嫌い。
 苦しいのも嫌い。
 お仕置きなんか大嫌いだ。

 でもキスは好き。
 えっちも好き。
 オルガはもっともっと大好き。

 今日はオレの我が侭だから痛くても頑張って我慢する。
 あーオルガ。巻き込んじゃった。ごめんね…。
 でも怒られる時もオルガと一緒。
 そう考えると、なんだかほんの少しだけ嬉しかった。
 オルガに言ったらきっと怒っちゃうからこの気持ちはナイショだけど。



END


2004.01.10