その先を知らない - STELLAR side -
ショーウインドに映った自分の姿に気付きステラはぴたっと立ち止まった。
じっと見つめた後、見慣れない自分の格好を確認するように、くるり、と一回転すると、白いスカートがふわりと揺れる。
くす。
嬉しくなってもう一度。
一回、二回、三回…どんっ!
「大丈夫?」
「だれ…?」
曲がり角で背中に衝撃を受けて、彼女はよろめいた。
ダンスは其処でストップ。
後ろを振り向くと、其処に居たのは、同い年くらいの男の子。
折角の気分が萎えてしまう。
胸を掴むように支えてくれていた腕をばしっと振り解く。
スティングとアウルの許へ駆けた。
何?
あいつ?
人の胸掴んどいて平気な顔。
「嫌なやつ」
大分、走ってから
ぽつりと、小さく
誰にも聞こえないように呟いた。
「ステラ。置いてくぞ!」
「早くしろよー」
少し離れた場所からスティングとアウルの声が聞こえる。
荒い息を整えて、2人の許に駆け寄った。
「どうした?」
少し様子がおかしかったのか
スティングが軽く首を傾げた。
「なんでもない」
普段と同じように淡々と応え、彼と視線を外す。
彼は何も言わなかった。
「もう直ぐバトルの始まりだ」
2人のやりとりと、横目で眺めつつ
アウルが楽しそうに笑った。
硝煙の匂いが開幕の合図。
あの少年と後に戦場で再会することになる未来を彼女はまだ知らない。