Merry Christmas


 ぱたぱた、ぱたぱた、とふかふかマットの上を、ふさふさ尻尾が踊る。
 シャニはクリスマス特集の番組に夢中になっているようだ。
 俺は、と言うと、先程シャニと食べ終わったケーキの片付けをしている途中。
 食器を下げ、口内に残っている甘ったるい余韻を消すため、コップに手を伸ばす。
 あー駄目だ。消えねー…。
 しかたないので、もう一口。うーん、もう一息か、とブラックコーヒーを流し込み。
 そしてケーキが入っていた箱に掛けられている赤いリボンに、目を留めた。
 ‘MerryChristmas’とロゴが入っているそれを手に取り、シャニのほうを見る。ぺたぺたスリッパを鳴らしながら移動。
 ケーキにゃ、トリの丸焼きにゃ、とシャニはやっぱりモニタに映るクリスマス特集に夢中で、おいおい、さっき食ったばっかだろ、と心の中で思わずツッコミを入れてしまう。
 シャニの後ろに座り、コバルト・グリーン色のやわらかい髪をちょいちょいとくすぐる。

「にゃ?」
「じっとしてろよー」

 俺の言葉通りに大人しくしているシャニを、よしよし良い子だ、と褒め、手櫛で髪を梳き梳き。
 続いてそれを高い位置でひと纏め。
 ちょちょいのちょい、とちょうちょう結びの出来上がり。

「お!可愛いぞ、シャニ」

 くるり、と体の向きを変えさせ、正面からその姿を確認。
 シャニはちいさな手で、自分の髪に触れて、それはもう可愛らしい最上級の笑顔でニッコリしてくれた。
 俺は、と言うと、モニタのクリスマス特集からシャニを取り戻すことが出来たので、それはもう大満足。
 シャニとおんなじように最上級の笑顔でニッコリ。

「おるにゃ、ありがとー」
「おう、どういたしまして」


END


オルガさんはTV番組にもシャニたんをとられたくない模様〜。
シャニの髪は緑色なので、赤いリボンつけたらクリスマスカラーだ、と思って書き始めたお話です。

2005.12.25