冬の朝は寒い。朝目覚めると、隣に居る螢惑の手のひらの上で、チリチリと小さな火の粉が踊っていた。
 火霊の精と戯れている螢惑の肩を抱く。

「オレにもお前を温めることが出来るのだぞ」

 そう言い、今度は両の腕 (かいな) で、華奢な体を抱きしめる。
 螢惑は最初にきょとん、とし、程無くして火の精と別れを告げたようだった。
 オレの肩に顔を埋めて、小さく響く声。

「…うん、あったかいね、辰伶」

 ああ、二人で居るからな。



2005.12.07

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